牟岐人 - MUGIZINE

徳島県牟岐町への移住定住をサポートするウェブメディア

色んな方がそれぞれの目的で楽しんでもらえる場所になれば- モラスコむぎスタッフ 中西香代さん

1986年に貝の資料館として開館したモラスコむぎは、世界中から集めた貝や化石の標本約2000種6000点を所蔵する貝の資料館。その所蔵数は全国的にも稀で貝の愛好家の中ではよく知られる場所となっています。
2022年1月にリニューアルし、貝の資料館に加えてコワーキングスペースとコミュニティスペース、そしてキッチンスペースのレンタル事業が始まりました。今回はリニューアル以前よりモラスコむぎでスタッフをされている、中西香代さんにお話しを伺いました。

体調を壊し回復、その後モラスコむぎへ

編集者
お住まいは牟岐町ですか?

中西さん
いえ、隣町の海陽町です。2年間だけ大阪にいたんですけど、それ以外はずっと海陽町です。

編集者
大阪ではどんなことをされてたんでしょうか??

中西さん
大阪芸術大学の短大に行って絵画を勉強していました。

編集者
小さい頃から絵を描くのは好きだったんですか?

▲一つ質問するといくつも答えを返してくれる中西さん。

中西さん
はい。絵を描くのも好きだったんですが、一番好きだったのは植物のコラージュのようなものでした。画用紙にのりをつけて、そこにススキとか木の実なんかの植物をくっつけて絵にするのを保育園の先生から教えてもらったんですが、それが大好きでいつも作っていました。自然物の美しさやかわいさにすごく惹かれて。今も休憩時間に近くを散歩して綺麗な植物を集めたりしてます。貝もすごく美しくて不思議ででずっと見てられますね。

編集者
ではこの職場はすごく良い環境ですね。卒業後は海陽町に戻られたんですか?

中西さん
はい。教員免許を取ってたんですが、徳島で教職につくのはなかなか狭き門で臨時の仕事をしてました。結婚してからはずっと3人の子の子育てだけしてました。

編集者
3人のお子さんを育てられるだけで十分大変なお仕事です。

中西さん
いえいえ、そんなことはないんですよ。働きながら3人4人育てられる方もたくさんいますし。

編集者
いやいや、すごいです。では子育てが終わってからまたお仕事を?

中西さん
はい。子供が全員親元を離れたので仕事を探して。ちょうどその時海陽町に新しく産直市場を作るということで求人が出てたんです。そこで働き始めました。

編集者
立ち上げから関わられたんですね。そちらではどんなお仕事をされてたんですか?

中西さん
レジ打ちから陳列、ラッピング、発注、出品者の方への支払いのやりとりなど業務に関わることは全部やってました。ほとんどひとりでやってたので大変でしたけど楽しかったです。

編集者
おひとりでされてたんですか!

中西さん
そうですね。繁忙期は2人になるんですが、それ以外の時期はひとりでした。売れるように陳列やラッピングを考えたりポップを書くのがすごく楽しかったです。あとは、通年で出品してくださる100名ぐらいの出品者の方お一人お一人とやりとりするのもやりがいがありました。お客さんの注文希望を聞いて、農家さんにこの野菜をこれぐらいの量で包装してくれませんかって発注したり。忙しい時は直接商品をもらいに行ったりもするし、それぞれのご家庭の様子や生活リズムなんかも分かってきて家族みたいな感じで付き合わせてもらってました。

編集者
お客さんの希望と生産者さんを丁寧に繋いでいたんですね。

中西さん
やりがいもあったし楽しかったんですが、体調を崩してしまって。このまま働くのは難しいなと考えてその職場は辞めました。

編集者
それは大変でしたね。もう体調は大丈夫ですか?

中西さん
はい。2年ぐらいゆっくりしてだいぶ良くなったころに職業訓練校でデザインを学びに徳島市まで通って講座を受けていました。

編集者
なぜデザインを学ばれようと思われたんですか?

中西さん
絵を書いたりポップやチラシを作るのは好きだったんですが、パソコンでの作業が全然できなくて、ちゃんと勉強したいなとずっと思ってたんです。講義内容も私には難しくてなかなかついていくのが大変だったんですけどね。もうちょっと勉強したかったんですが、半年ぐらい経ったころにモラスコむぎの求人が出てたので、中途半端だったんですが職業訓練校は辞めて今に至ります。

編集者
そうなんですね。モラスコむぎを選ばれた理由はありますか?

中西さん
海部郡内での求人自体の数が少ない中で、ここなら前職の経験が活かせそうだと思ったんです。あとはポップやチラシ作りなどデザインをする機会もあるかなと思いました。

編集者
モラスコむぎではどのようなお仕事をしているのでしょうか?。

中西さん
まずは施設の清掃ですね。広いし窓ガラスもたくさんあるのでひとりでやると結構時間がかかります。あとは博物館来館者の方への対応と、お土産物の貝のグッズ製作やラッピングと発注作業、ポップや案内看板作り。そして新しく始まったレンタルスペースの問い合わせ対応や予約受付、利用者の方の対応ですね。

どなたでも気軽に使える場所として

編集者
レンタルスペースが始まって約2ヶ月経ちましたが反応はいかがですか?

中西さん
予想よりもお問い合わせをたくさんいただいています。部屋や利用料金のお問い合わせから、こんなことをしたいんですが利用できますか?とか。観光で立ち寄ってくださった方がこの場でレンタルスペースがあるのを知って、じゃあちょっと借りますって利用してくださった方もいました。徳島市や県西部の方が海を楽しむついでに利用してくださったり。

編集者
海を眺めながら仕事ができて、砂浜にもすぐ降りられる場所ってそうそう無いですもんね。

▲モラスコむぎの目の前は砂浜や磯場が。季節が良くなるとここで遊んでいる方も多くいらっしゃいます。

中西さん
そうですね。あとは利用料金も安いし、他と比べると固くない感じなのが個人の方でも利用しやすいと感じてくれてるみたいです。他のコワーキングスペースは月極だけで一時利用ができなかったり、個人では利用しずらかったりするところもあるみたいで。うちは学生さんが一人で就職活動のオンライン面接で使ってくださったりもしますし、どなたでも気軽に利用していただけるのが魅力だと思うので、そこを大切にしていきたいですね。今の所利用してくださった方々はみなさんすごく満足してくださっているようで何よりです。

編集者
有料のコミュニティスペースはどのような利用のされ方をしてるのでしょうか?

中西さん
会議でも使われるし、オンライン講師をされてる方がこの部屋から講義をしたり。基本的にはパソコンを使ったお仕事をされに来られますね。

編集者
まだ始まって間もないのに想像以上に色々と利用されていてびっくりです!

▲有料のコワーキングスペース以外にも無料で使えるコミュニティスペースもあるので、誰でも気軽に立ち寄って利用することが可能なのです。

中西さん
面白いですよね。コミュニティスペースの方ではヨガや体操の教室、ネイルサロンなんかもできると思いますし、お誕生会やお食事会の場所としても利用していただけると思います。隣がコワーキングスペースなのであまり大きい音が出てしまうのは厳しいかもしれませんが。でもできるだけ一人一人のご希望に合わせて、一番満足していただけるご利用方法を考えることを心がけています。

編集者
前職でお客さんと生産者さん一人一人へ丁寧に対応されてたのと同じですね。

中西さん
そうですね。活かされています。

色んな方がそれぞれの目的で楽しんでもらえる場所になれば

編集者
今後やってみたいことや、こんな場所にしていきたいといった目標はありますか?

中西さん
壁面にピクチャーレーンと簡単な照明をつけてもらって。小さいのですが展示スペースを作ってもらったんです。ここで色んな方に作品展示をしてもらえるようにしたいです。あとは、千年サンゴという世界最大級、年齢約1000年で最長寿の貴重なサンゴが牟岐大島の海中にあるんですが、ダイビングをしないと見れないんですよ。以前はモラスコむぎにダイビングショップがあって体験したい方はダイビングができたようなんですが、今は保護活動をしてる方たちしか見ることができないんです。なので、お金をかけるのは難しいと思うんですがVRとか何か少しでも千年サンゴを体感できるようなものができないかなと思ってます。

▲モラスコむぎの入り口には千年サンゴを模倣した模型が。今はこのような形でしか千年サンゴを知ることは出来ないのです。

編集者
目の前の海にあるのにもったいないですもんね。

中西さん
でも何よりも、目の前のお客さん一人一人に最善の対応をしっかりして、来て良かったと思ってもらえるようにすることが私の一番の役目だと思っています。

編集者
確かにそれが何より大切かもしれません。

中西さん
大きいイベントも良いですが、少しずつでも色んな方が集まる場所になったら嬉しいです。少し前から寄贈してくださったピアノを置いてるんですが、徳島市のほうから定期的にピアノを弾きに来てくださる方々がいるんですよ。あとは「ずっと来たかったんです」と遠方から来られて本当に長い時間をかけて資料館を楽しんでいってくださる貝の愛好家の方々もいます。そうした声はすごく嬉しいですし、そこに加えてレンタルスペースをすることで訪れる方々の裾野が広がりました。色んな方がそれぞれの目的で楽しんでもらえる場所になれば良いなと思います。

レンタルスペースを始めたことで色々な方に出会えるのが楽しいとも、中西さんはお話をしてくれました。
「一人一人の希望に寄り添って最善の対応をしたい」。
単純に業務だからしているのではなく、利用者の方との出会いをご自身も楽しみながら、目の前の方が一番喜ぶようにとつくすのは誰にでもできることではないと思います。
中西さんの存在も新しいモラスコむぎの大きな魅力になっているのだと感じました。

今回の牟岐人

fleximg2

中西香代さん

モラスコむぎ情報
モラスコむぎ ウェブサイト
有料スペース、無料スペースに分かれているため、ご興味のある方は一度ウェブサイトでチェックされるのをオススメします。

コメントをどうぞ

*
*
* (公開されません)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください