牟岐人 - MUGIZINE

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コワーキングスペースを活用して牟岐へ移住 – グラフィックデザイナー 春川法古さん

前回の牟岐人ではモラスコむぎスタッフの中西香代さんにお話を聞きました。その中で2022年からリニューアルオープンしたコワーキングスペースをご紹介いただきましたが、今回はこの場所を拠点にRIDE ONという屋号で活動をしているグラフィックデザイナーの春川法古(はるかわのりこ)さんにお話を伺いました。

高校卒業からデザイナーになるまで

編集者
春川さんのお生まれはどちらでしょうか?

春川さん
美波町です。日和佐の町のほうの地域ではなく、山の中で。いつも目の前の川で魚やエビを捕まえたり泳いだりして遊んで育ちました。

編集者
美波町にはいつまで住んでいたのでしょうか?

春川さん
高校まで美波町で、卒業してから徳島市内のスーパーに就職しました。そこから牟岐に来るまでずっと徳島市内でした。

編集者
初めはデザイン関係のお仕事じゃなかったんですね。

春川さん
いえ、スーパーのポップやチラシを作る部署だったので、デザインの基礎のようなことはやってました。

編集者
なるほど。絵やデザインにはずっと興味があったんでしょうか。

春川さん
子供のころから絵は好きでした。美術大学への進学も考えたんですが親に金銭的に負担をかけてまで行くのもな〜と思って。でも少しでも絵に関わる仕事ができたら良いなと考えてたら、当時の絵の先生から企業でもデザインやイラストに関われる部署もあるということを教えてもらったんです。それで直接スーパーの本社に行って、チラシを作る部署で雇ってもらえないかと話をしにいって。

編集者
高校生ですごい行動力ですね!

春川さん
求人も出てなかったし、今考えたらむちゃくちゃなんですけどね(笑)子どもだったので勢いで。でも運良く人手が欲しかったみたいで、就職試験を受けてみたらと言ってくれてそのままそこに就職しました。

▲むちゃくちゃと言いながらも笑って話をしてくれる春川さん。行動力の凄さが伺えます。

編集者
しばらくそのスーパーで働かれてたんでしょうか。

春川さん
はい。仕事内容はポップを描く以外にも、撮影の手伝いやディスプレイの手伝いなどもあり楽しかったです。同僚も上司もいい人ばかりで恵まれた環境でした。数年働いた後、いくつか職を転々として、20代後半で地域情報誌のデザイナーになりました。デザイナーとして仕事をしたのはこの時が初めてですね。

編集者
そうなんですね。

春川さん
その会社で働いていた友人から「デザイナーが足りないのでやらないか?」と声をかけられて。本格的なデザインの経験は無くても働きながら覚えたら良いと言われたので、それならやってみようかなと。

編集者
そこでデザイナーとしての経験を積まれたんですね。どのタイミングで独立されたんですか?

春川さん
情報誌で3年働いた後ですね。アルバイトとして働いてたんですが、そこのバイト契約が3年までで、それ以上いるなら社員にならなければならなかったんです。

編集者
社員になるのは良いことのようにも思えるのですが違ったんですね。

春川さん
実は若い頃に結婚してすぐ離婚したのでずっと一人で子育てをしていて。社員になると仕事柄かなり忙しくなるので家庭に支障が出てくると考えたんです。それならもういっそのことデザイナーとして独立しようと決心しました。

編集者
ずっとお一人で働きながら子育てされてたんですか!?独立することを選択されたのもすごいです!

春川さん
もう勢いですよね。子供も中学生になるタイミングだったので環境を変えるならここかなと。年齢的にもあの時じゃなかったら考えすぎて決心できなかったかもしれません。

再婚やコワーキングスペースの存在で牟岐へ移住

編集者
徳島市内でデザイナーとして長く活動されてきて、牟岐に移住することになったのはなぜですか?

春川さん
40歳を過ぎてから高校の同級生と再婚したんですよ。同級生といっても面識はなかったんですけど。その人が牟岐の人で。

編集者
そうなんですね!

春川さん
子どもも大学を卒業して手を離れてたので良いかなと。しばらく徳島市内で暮らしてたんですけど、義理の父が高齢で心配になってきたのと夫が仕事を辞めたこともあって、牟岐の実家で一緒に住もうかということになったんです。それで先に夫が牟岐に帰って、私は徳島市に住んで時々牟岐に行くという生活を1年ぐらいしてから牟岐に移住しました。

編集者
お仕事は牟岐でも続けていけそうだと判断されたんですね。

春川さん
それが牟岐に帰ろうかという話が出た時がちょうどコロナが始まった頃だったんです。それで仕事が激減して、このまま牟岐に帰ったら仕事が全く無くなってしまうかもと思って、夫だけが先に牟岐に帰ったんです。そうこうしてるうちに少しづつ仕事も戻ってきたので牟岐に行ってもどうにかなるかなと思える状況になってきました。

編集者
コワーキングスペースができたのも良いタイミングだったんですね。

▲2021年にリニューアルオープンしたモラスコむぎ。コワーキングスペースもあり、春川さんのようにリモートでお仕事をするには非常に最適な場所。

春川さん
そうです。あと、コロナでリモートでの打ち合わせが当たり前になったのも牟岐に来るにはありがたかったです。

編集者
お仕事はいつもモラスコむぎのコワーキングスペースを利用されてるんでしょうか。

春川さん
そうですね。牟岐で義父と夫と一緒に暮らすことになったんですが、家ではなかなか集中して仕事ができる環境にならなくて。困ったな〜と思ってるところにこのスペースができると聞いたので、オープンに合わせて本格的に移住してきました。

▲海が目の前にあるコワーキングスペースを使って日々働く春川さん。

編集者
すごく良いタイミングだったんですね。コワーキングスペースの使い心地はいかがですか?

春川さん
静かだし環境も良いので気持ち良く仕事させてもらってます。天気が良い日は外の砂浜でお弁当を食べたり、ベンチに寝転がってちょっと休憩したり。

何気ない事が楽しい牟岐での生活

編集者
春川さんご自身は牟岐に引っ越すのに抵抗はありませんでしたか?

春川さん
私もいつかは県南で暮らしたいとずっと思ってたんです。親も高齢になってきて心配なので近くにいたいし、自然が近くにあるところで暮らしたいと長年考えてました。この先の人生も長いし、県南での生活を根付かせるためにも今のタイミングで環境を変えるのは良いんじゃないかなと。

編集者
なるほど。実際に移住されていかがですか。

春川さん
とても充実してます。義父は漁師で住んでいるのも港付近の漁師町なんです。漁師さんたちの声は大きいので外での会話が家の中にいても丸聞こえだったり、玄関先に誰がくれたか分からない魚や野菜が勝手にドンと置かれていたり。そういえば田舎ってこんな感じだったなーと面白がってます。

▲春川さんが住む場所はいわゆる漁師町。港に行けば細い路地の町並みや漁師さんに懐いた猫ちゃんがいるのです。

編集者
美波町のご両親にも会いに行きやすくなりましたか?

春川さん
はい。距離が近くなったので少なくとも2週に1回は行けるようになりました。

編集者
牟岐での好きな過ごし方があれば教えて下さい。

春川さん
毎日のように散歩に行ってます。灯台に行ったり山道を歩いたり。散歩をしていると、いつの季節もその季節なりの美しさを感じられます。あと浜に行って、流木を集めたりしながらビールを飲んでぼんやり日が沈む中で過ごす時間は最高ですね。一人で行くこともあれば夫と2人で行くこともあります。一応ゴミも拾ったりして。

▲仕事を終えたら飼っている猫ちゃんと一緒に堤防まで散歩。田舎ならではな楽しみ方です。

編集者
最高ですね!では今後やってみたいことなどはありますか?

春川さん
まだ家の周りしか分からないので、山のほうや駅周辺など牟岐の色んな地域の魅力を知っていきたいです。

編集者
牟岐町は小さいですが地域ごとに人も文化も違ってすごく面白いと思います。

春川さん
あと、やりたいこととは別ですが移住してから環境問題を自分ごととして実感できたんですよ。放置林や磯焼けがすぐ目の前にある。町に住んでいると環境問題が深刻と情報としては知ってても、実感できないのでどこかよそ事というか。なので、都会の人が田舎に来て問題を実感できるような機会があれば環境への一人一人の意識がもっと変わってくるんじゃないかなと思います。

いくつもの大きな環境の変化を乗り越え、明るくお話してくださった春川さん。お話を聞かせてもらい、何気ない日常の中から楽しみや面白さを見つけ出すのがお上手なんだろうな、と勝手ながら感じました。これから春川さんが牟岐でどんな楽しみを見つけながら町に根付いていかれるのか、想像するだけで何故か私もワクワクしてくるのでした。

 

今回の牟岐人

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春川法古さん

RIDE ON – グラフィックデザイナー

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