徳島県では、住民票は移さずに一定期間、保護者とお子様が地方に移住し、地方と都市の両方の学校で教育を受けることができるデュアルスクールを進めており、牟岐町もそのひとつです。
デュアルスクールについて
地方と都市の交流人口や「関係人口」の増加による地方創生と少子化への対応、子どもの豊かな体験機会の提供の視点から、地方と都市の学校を結ぶ教育環境を創造することによって、地方と都市双方の視点に立った考え方のできる人材を育成するとともに、「二地域居住」や「地方移住」を促進することを目的としています。(株式会社あわえから引用)
https://www.awae.co.jp/dualschool
今回、東京から牟岐町にデュアルスクールで滞在している橋本康太さんにお話を伺いました。橋本さんは牟岐町出身で、中学校までを牟岐町で過ごし、中学校のバスケ部では全国大会へ出場。その後は高知県の高校に進学されましたが、長めの連休には牟岐町に帰ってきていたそうです。現在は東京でリモートワーク推奨の会社で働きながら、奥様と3人のお子様と暮らされています。昨年もご長男様とデュアルスクールで牟岐町に滞在されており、今回は2回目の滞在となります。

Q. なぜデュアルスクールをしようと思ったのですか?
私は普段、東京に住んでいるのですが、きっかけは近くの銭湯に行ったときにたまたま見た報道番組で海陽町のデュアルスクールが取り上げられていたことです。そこで調べてみると、株式会社あわえのホームページにたどり着き、「うちの子もいいかな」と思いました。


私は、牟岐町に生まれて、高校では高知県に住んでいたし、現在は東京に住んでいますが、子どもは東京でしか住んだことがありません。東京では地方に関する情報はあるのですが、見聞きするだけでなく、多様性(地域性の違いによる文化、言語など)を実際に地方で暮らす中で学んでほしいと思いました。また、自分自身も仕事や子育てでしんどい時期だったので、ちょっと普段とは違う環境に身を置きたいという気持ちがありました。東京だと周りに頼ることが難しいですが、地方だと地域全体で子どもを育てていくような感じがありますよね。こっちに来てから、子どもが「釣りをしたい」と言い始めました。そうしたら近くに住んでいる漁師さんが道具を一式貸してくれて、最近は東の港で釣りを楽しんでいます。
Q. 都市部と牟岐での働き方についてお聞かせください。
リモートワークが多いので、東京の自宅では生活と仕事が一緒になっていて、息の詰まるような気分になることがありました。牟岐に来てからは、モラスコむぎのコワーキングスペースで働いていますが、管理や運営をされている方々に良くしてもらっています。モニターがあったり、椅子もいいものを置いているので仕事がしやすいです。海が見えるテラスでモーニングを食べることもあり、リフレッシュしながら働くことができています。

Q. 滞在して感じたことを踏まえて、今後はどのような関わり方をしたいと考えますか?
昨年、牟岐に初めてデュアルスクールで滞在した時はバケーション感覚だったというか、周囲にも特別感がありました。2回目の今回はそのような感覚は薄くなっていて、日常として生活ができているなと感じます。知っている人たちと会うことが多く、牟岐町は安らぐ場になっています。
今後は、デュアルスクールの制度がより整っていき、自治体として持続的な形をとれるのであれば、二拠点居住のような形で春先から夏にかけて、または夏から秋のお祭りにかけてなど、牟岐の良さを存分に感じられる季節に長い期間で滞在して、町の活性化に貢献できたらと思っています。

現在、二地域居住が話題になっておりますが、親御さんの仕事やお子さんの教育環境など、超えないといけないハードルは、依然として高い実情があります。このような状況の中でデュアルスクールはお子さんの教育環境を軸に、家族での二地域居住を模索することができます。
「地方」と「都市」、双方の視点に立つことで、見える世界は確実に変化し、相互理解が進んでいくことを私は感じています。牟岐町で活動を行った都市部の学生の中でも、牟岐町で活動を行った経験から、土地や地域への愛着を理解できるようになったという話を伺ったことがありました。
生活環境が違うことで、一つの物事に関する感じ方や受け取り方にも違いが生じます。地域それぞれの良さを感じ、違いを肯定的に捉えられる教育がこれから必要なのではないでしょうか。複数地域での生活は、その違いを感じることができ、また、新たな故郷を持つきっかけになるかもしれません。
ライター:地域おこし協力隊 真武未有


