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大阪から牟岐へ移住し、美容室をオープンさせたUi__Hair&Make(ウイ ヘアアンドメイク)の オーナー 家形さゆりさん

大阪から牟岐へ移住し、美容室をオープンさせたUi__Hair&Make(ウイ ヘアアンドメイク)の オーナー 家形さゆりさん


昨年2021年、牟岐駅前に美容室Ui__Hair&Make(ウイ ヘアアンドメイク)がオープンしました。オーナーはヘアメイクスタイリストの家形さゆりさん。約2年前、結婚を機に大阪から牟岐へ移住をしました。都会から田舎へ、環境がガラリと変わったさゆりさんの生活やお仕事について色々とお聞かせいただきました。

住み慣れた都会から田舎へ

編集者
ご結婚をきっかけに大阪から牟岐町へ移住をされたとお聞きしました。

さゆりさん
はい。出身は大阪の枚方市なんですけど、18歳で家を出てからずっと心斎橋のあたりを拠点に生活してました。じいちゃんばあちゃんも大阪にいたので田舎よりも都会に近い環境で育ってきました。

編集者
牟岐のような町とは正反対の環境でずっと生活されてきたんですね。いままでと違う環境に移住することに対して拒否感はありませんでしたか?

さゆりさん
環境が違いすぎて田舎暮らしの具体的なイメージが全然持てなかったんで、嫌とも不安とも逆に思わなくて。「海も空も綺麗だし良いかな〜」ぐらいの軽い気持ちでした。

編集者
そうなんですね。実際に移住してみてどうでしたか?

さゆりさん
スーパーもあるしネットで頼んだ荷物もすぐ届くし、意外と日常生活に不便を感じることはあまり無いです。でも色んな仕組みの違いに初めは戸惑いました。例えば下水が通ってない環境は初めてだったので、このお風呂の水はどこに行くんだろうとか。あとは不動産屋さんが無いので家を探すのはどこに行ったら良いのか、とか。これまで当たり前にあったものが無いことに慣れるのにちょっと時間がかかりました。

編集者
全く違う環境にストレスは感じなかったですか?

さゆりさん
うちの場合は夫が牟岐出身なので、私が感じる戸惑いに共感は無いんですよね。夫にとっては当たり前なので。「物件探しは役場に行って聞いてみたら」とサラッと言われても、こっちとしては物件探しにそんな市役所的なところに行って大丈夫なん?って感じで。なので初めはちょっと孤独感があったと思います。誰にも理解されない困りごとや驚きが多すぎて。初めは牟岐に友達もいなかったですし。

編集者
なるほど。地域の方たちとの関わり合いも都会とは違うことが多いと思うんですが戸惑いは無かったですか?

さゆりさん
やっぱり最初は見慣れない人間だしこんな金髪だしで、誰だろう?って感じでよく見られましたね。大阪だと街中で会う人たちを基本的に気にはしないので、初めはどうしたら良いんかなって感じでした。

編集者
田舎は知ってる顔ばかりなので知らない人がいたら誰だろうってみんな気にしますもんね。?

さゆりさん
なので、「知ってるいつもの子」になったら安心してくれるかなと思って、近所の人たちに会った時はめっちゃ挨拶するようにしました。今は温かく見守ってくれてる感じです。

予想外の美容室オープン

編集者
移住して1年後にこちらの美容室Uiをオープンされたそうですが、もともと牟岐で美容室を開こうと考えられていたんですか?

さゆりさん
いや、初めは全然考えてなかったです。大阪ではフリーランスで美容師とヘアメイクの仕事をしてたんですけど、もう自分の中ではやりきったと思えてたので、牟岐に移住したら第2の人生をゆっくり楽しもう!ぐらいの気持ちだったんです。働こうとは思ってたけど、どこかの美容室でパートで雇ってもらえたら良いな…とゆったり考えてました。

編集者
そうなんですね!それがなぜご自分でお店を持つことになったんでしょうか?

さゆりさん
雇ってもらえる美容室が見つからなかったんですよ。こっちは美容室って個人店が多いので、人を雇う予定のないお店が多く、働ける場所が見つからなかったんです。阿南市に行けば数店あるけど、車の運転に自信が無かったので片道1時間かけて通うのが怖くて。で、もう自分で店をやるしかないなということになりました。

編集者
想定とは全然違う方向になったんですね。移住して数ヶ月は当初の予定通り比較的ゆったりした生活を送られたと思うんですが、その日々はどうでしたか?

さゆりさん
引っ越してすぐは夏だし海や川で遊んだりして結構楽しんでたんですが、だんだんと仕事のオンオフが無い生活がしんどくなってきたんです。大阪ではずっと仕事をしてきたのでバランスがとれないとゆうか…自分には仕事が必要なんだな、とその期間でよく分かりました。それで仕事を始めようと思ったけどさっき言ったように仕事が無い…じゃあ自分で始めようという流れです。

編集者
同じ美容師のお仕事でもこれまでと違うことも多いと思うんですが、ご自分の店を持ったことで大きく変わったことはありますか?

さゆりさん
スタンスは変わってないんですが、お客さん一人一人とゆっくり向き合えるようになったかなと思います。小さい子がいてもオッケーなので、ご家族みんなで4時間ぐらい貸切というのもよくあります。大阪では面貸しといって美容室の一角を貸してもらって髪を切っていたので、他のスタッフやお客さんもいるしなかなかそんな自由にはできなかったんです。もうちょっとしてあげたいと思っても次の予約が詰まっていたり。そういう点では自分の店を持って良かったですね。

色々なものに出会えるフリースペースに

編集者
フリースペースUi_cafeも併設されてますが、こちらもご自分のお店を持つ時にこだわられた部分なんでしょうか?

さゆりさん
美容室の一角でちょっとしたフリースペースがあれば良いかなぐらいは思ってたんです。でもたまたま広いところが借りれたので、1年目の自分の経験もあって色々な方の居場所になれば良いかなと思って作りました。

編集者
現在は期間限定でパンケーキを中心としたカフェをしているとのことですが(2023年1月で一旦終了)、当初からカフェのような形を想定していたんですか?

さゆりさん
そうですね。お店を作り始める段階で飲食出店が可能なシェアスペースを併設することは決めてました。

編集者
なるほど。

さゆりさん
これまでも徳島市でイタリアンのお店をされてる方が1日出張で店をオープンしてくれたりしました。徳島市や県外など少し離れた場所で普段活動されている方が海部郡で出店する時の拠点のようになれば嬉しいですね。海部郡に遊びに来るついでに出店する、みたいな感じでも。地域の方にとってもいろんなお店に変われば面白い場所になるんじゃないかなと思ってます。

若い子たちの選択肢を増やしたい

編集者
これからやりたいことや今後の展望はありますか?

さゆりさん
これまでがフリーランスとして、毎日時間も場所も会う人も仕事内容も違う仕事をする生活だったのもあって、自分は一つの場所でずっと仕事をするより、もう少し動ける働き方のほうが向いてるかなと思ってるんです。もちろん今も仕事内容としては充実しているしありがたいのですが、働き方としては数年かけてもう少し自分に合うようなスタイルを見つけていきたいと思ってます。

編集者
具体的にどんなイメージですか?

さゆりさん
店舗は私以外に誰か常駐のスタイリストさんを見つけたいなと考えてます。もちろん私も引き続き店舗にも立ちつつ、時々ヘアメイクや美容師として仕事で出張できたら良いなぁ、と。今もこの店以外にもご依頼があれば大阪に行ってたりもするんです。自分が大阪の経験からあまり年数が経たないうちにヘアメイクの仕事を作って、若い子たちにつなげられたらと。

編集者
牟岐や海部郡内にいてもヘアメイクの仕事や勉強の選択ができるように、ということでしょうか。

さゆりさん
そうですね。牟岐に来て若い子たちの雇用のことを考えるようになってきたんです。こっちの子は選べる職業も少ないみたいなので、ひとつ選択肢を増やせるかなという想いもあって。特にヘアメイクは免許も必要ないので、私が仕事を増やしてあげれてたら、若い子がゼロから経験を積んでもこっちにいながら仕事ができるんじゃないかと思ってるんです。

編集者
次の世代の雇用のことまで考えられてるんですね。

さゆりさん
ヘアメイクの仕事をやりたかったけど、田舎に残りたいから諦めたってゆう高校生の子が実際いたんですね。何かできる方法があったんじゃないかな、って私は思うんですけど、本人も周りにいる大人の方々も分からなかったりすると、遠いから無理とか無いからできないと諦めることが多いのかな、と。これまでの自分の経験を若い子たちの新しい選択肢につなげることができる可能性があるかもしれないならやってみたいです。田舎にいても諦めない方法を見つけたいなと思ってるんですよね。

Ui_という店名はU&I、あなたと私一人一人それぞれの心地良い居場所であるように、との意味を込めて付けられたそうです。美容室、カフェ、そしてこれからの若い世代の雇用という居場所作りまで考えられているさゆりさん。牟岐や海部郡にいてもヘアメイクの仕事ができる、そんな選択が当たり前になる日もそう遠くないのかもしれません。

 

今回の牟岐人

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家形さゆりさん

instagramアカウント:@ui_hair_ui_cafe

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