牟岐人 - MUGIZINE

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「また牟岐に帰りたいな」 / NPO法人ひとつむぎ – 越智日和さん

今回の牟岐人は、鳴門市生まれ鳴門市在住の越智日和(おち ひより)さん。四国大学に通いながらNPO法人ひとつむぎに参加し、牟岐町の教育分野で約4年間活動をしてくれました。越智さんはすでに大学4年生。春にはめでたく卒業を控えていますし、すでに東京での就職も決まっており春から社会人です。そんな越智さんに4年間牟岐町と関わってくれた「牟岐人」としてインタビューをさせていただきました。

キッカケは同級生のお誘い

編集者
越智さんが牟岐町に来るキッカケってなんだったのでしょうか?牟岐町には大学生を中心に教育やまちづくりに携わる団体「NPO法人ひとつむぎ(以下ひとつむぎ)」がありますが、ひとつむぎの存在がキッカケだったのでしょうか?

越智さん
そうです。大学生になってからNPO法人ひとつむぎに所属したのですが、以前MUGIZINEで取材していた川邊笑が高校生の同級生だったんです。彼女に高校一年生の時に「牟岐に遊びにこない?」って誘われていったのが、牟岐と関わりを持つことになった一番最初のキッカケで。
それで、行った時に当時のひとつむぎの大学生が進路相談会を開いていたんです。進路の相談をしたりとか、色んなお話を聞いたのがひとつむぎとの最初の関わりでした。

大学を休学して、地元で子どもたちの居場所作りを – “ゆあぷれ””われもこう” 川邊笑さん

 

編集者
では、その時の体験に何か感じるモノがあったことで、自分も大学生になったらひとつむぎに入ろうと考えていたのでしょうか?

越智さん
いや…(笑)当時はそんなことまで思ってもいなくて…というのも私はずっと県外の大学に行きたいと考えていたんです。でも事情があって徳島の大学に行くことになった時に、ひとつむぎで一緒に頑張らないか?と声をかけてもらって入ることにしました。

編集者
鳴門市からだと牟岐町は物理的な距離もあるし、大学生にはなかなか大変な活動になると思うのですが、なぜひとつむぎに入ろうと決めたのでしょうか?

越智さん
当時のひとつむぎの大学生にお話を伺った時に、視野が広かったりとか、物事の捉え方が違っていて…論理的な思考だったり俯瞰して物事を見る力だったり、それを伝える力に素直に憧れたというのと、もともと教育に興味があっので、自分になにかできることがあったら嬉しいなと感じたからです。

編集者
なるほど。高校一年の時の最初のキッカケから牟岐には頻繁には訪れていたのでしょうか?

越智さん
はい。何かイベントがある時にはお誘いを頂いていたので友達と参加していました。同級生も何人かいて、そうした人たちと一緒に参加していました。

編集者
それで大学も四国大学へと決まったことで、ひとつむぎに入ろうと。

越智さん
はい。大学生になってからすぐに入りました。

NPO法人ひとつむぎウェブサイト

NPO法人ひとつむぎ
徳島県南部にある牟岐町を拠点に、教育やまちづくりの支援を通じた地方創生を目指して活動するNPO法人。

シラタマ活動のプロジェクトリーダーとして

編集者
活動をはじめて3年以上経つと思いますが、入ってからはどのような活動をしていたのでしょうか?

越智さん
主に「シラタマ活動」というプロジェクトを中心に動いていました。シラタマ活動は、牟岐町の中学生を集めて地域の方と一緒に何か活動をしていくプロジェクトで、例えば中学生が「牟岐町をもっと盛り上げたい!」って考えていたら、それをどういう風にしようかというのを一緒に考えて、お祭りを作ってみたりとか、牟岐の写真を沢山撮って写真集を作ってみたりとか、そんなことを毎年していました。

編集者
へーなるほど〜。越智さんはシラタマ活動ではどういったポジションで動いていたのでしょうか?

越智さん
大学一年の時は先輩のお手伝いのスタッフとして動いていたのですが、二年生になるにつれて主要メンバーになっていきました。

編集者
ディレクターみたいな?

越智さん
プロジェクトリーダーみたいな感じですね。参加する中学生は〇〇な考えの子たちが多いから、その場合は〇〇をゴールにしてそこまで持っていきたいよねなどと、ひとつむぎのメンバー同士で話をして考えたりしていました。

編集者
シラタマ活動に参加した当初からプロジェクトリーダーになりたいといった事を考えていたのでしょうか?

越智さん
そうですね、考えていました。

編集者
シラタマ活動の具体的な活動を上げるなら、どんなが活動があったのでしょうか?

越智さん
シラタマ活動に興味を持って手を上げてくれた中学生たちを集めて、先ずはどんなことをやりたいのか聞き取りからはじめて…例えば2019年だったらお祭りがしたいとか、牟岐の食材を使った料理を作りたいといった案がでました。それを実現するには地域の方の協力やフィールドワークを重ねる必要があったので、それらを行っていき、最終的には実現していくといった感じでした。大体12月にスタートして9月に終わる…みたいなスケジュールでした。

編集者
なるほど。他にも何か成果物は残していたりもするのでしょうか?

越智さん
あります。中学生たちが牟岐の風景で写真集を作りたいといったので、それを作ったりもしました。ありがたいことに協力してくれた地域の方々には「地域に配りなさい」とおっしゃってくれていました。それがまだ実現出来ていないことのひとつではありますが、写真集は中学生たちのひとつの成果として残せたモノではあります。

単純に「楽しい」という思いから

編集者
なんというか、偉いですよね(笑)。自分の若いときの事を思い返してみると考えられないというか(笑)まだ若いのになぜそこまで自分よりも若い子たちの事を考えて動く事ができるのか?不思議に感じる方も多いと思います。

越智さん
そうですか(笑)確かにひとつむぎの活動を通じて色んな方の前でお話する機会を頂いたりしてきまして、その度にそうおっしゃってくれたり、「すごいね!」などと言われることも多いのですが、偉いと思われたいからとか、そういうつもりでやっている訳ではないんです。
ただ単純に中学生と一緒に考えるのが楽しいというか…やっぱり難しいことも多いんですがそれがやりがいがあるというか。

編集者
今のうちにスキルを高めておいて、社会に出た時に役に立つような準備をしている部分もあるのでしょうか?

越智さん
うーん…社会人になった時のためにとかそんなつもりも全くなくて。この難しさをどう乗り越えようかとか、このチームだったらどう乗り越えることができるかとか、そういうことを考えるのが単純に楽しいというか。そうした方が充実するというか、そこから得るモノが大きすぎるので手放せなくなったという感覚かもしれません。今となっては就職活動に役に立ったなーと思うこともありますが、ひとつむぎの活動を社会人になるための準備として考えたことはなかったです。

編集者
不安定な昨今、若い時から10年20年後のことを考えて学生の時から動いている子達も多くなってきたと感じますが、越智さんの活動の源泉はそこではないと。

越智さん
そうですね。学年が上にいくにつれて責任も重くなってくるし、ただ単純に楽しいからやっているだけとは一概には言えませんが、責任感があったからこそ逃げずにやってこれたなとは感じています。

編集者
やめたい!みたいな時もあったのでしょうか?

越智さん
めっちゃありました(笑)責任感だけでやっている時もあったので。

編集者
楽しいからやっていたはずなのに、楽しめていない自分がどこかにいたとか。

越智さん
そうです。そういうのを経てといった感じです。

「また牟岐に帰りたいな」

編集者
それで、今年(2023年)の春でひとつむぎは卒業でしょうか?

越智さん
そうですね。でも3月に行うイベントがまだ残っているので、それが終わったらですね。

編集者
どうでしょう?やりきった感覚はあったりするのでしょうか?

越智さん
う〜ん…やりきった感を得るために今3月のイベントに向けて準備しているところです(笑)。結局私がひとつむぎとして活動をはじめた時にコロナ禍になってしまって、物理的に何も出来ないことも多くあったので…言い訳にしかならないんですけど…

編集者
いや…それは言い訳ではなく仕方がない状況ではありましたよね。最後に牟岐町で活動してきてどうでしたか?

越智さん
4年間活動してきて感じたことは、牟岐町は関係人口がすごく盛んだなと感じました。関わってくれた地域の皆さんが温かいので、ひとつむぎ側の人間がまるで故郷のような感覚になっているから、そうした関係人口がどんどん増えているんだなと感じました。関わった人たちは「また牟岐に行きたいな」とか、「また牟岐に帰りたいな」と言っている人も多くいるし、間違いなく私もその一員になりました。

なので、「学生時代に関わりをもった町」といったモノを超えて、牟岐町は「帰る場所」とか「またあの人に会いたいな」みたいなのがいっぱい詰まった町でこれからもあり続けて欲しいなと願っています。

あと、子どもたちと一緒に活動するなかで、子どもたちは「牟岐には何もない」「私、地元嫌い…」って当初言っていたのに、ひとつむぎの活動を通じて「あれ?牟岐って意外に面白いかもしれん」とか「私、牟岐好きかも」といった具合に変化していく様を見てきたので、故郷のことを想う子どもたちがこれからも育ってくれたらなって思っています。

 

 

今回の牟岐人

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越智日和さん

NPO法人ひとつむぎ 理事
https://hitotsumugi.org/

 

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