台風明けの天気のよい日、船がドック入りするとの話を聞いたので、どんな様子なのか見に行ってきました。
陸に揚がった船の姿
よく晴れているけど沖は吹返しで荒れている、そんな夏の日。ドックに船が入るという話が入りました。
現地へ向かう途中、停泊している船の底に群がる魚群が。横向けになって藻を食んでいます。ドックでは、こんな藻などを除去する作業が行われます。
東漁港から赤灯台へ回りこむ堤防の手前にある、ドック。港の一部を、組合で整備場にしてあるんですね。これから、この滑車に船を載せて引き揚げるみたいです。
と、さっそく整備予定の漁船がやってきました。
滑車を水中に沈めて、船体をうまいことその上に乗っけるという仕組み。位置の微調整は、かぎ竿で引いたり押したりして行ってます。
「ほれぐらいけ〜?」「あかん、あと10cm手前よー。」とのやりとり。熟練の海の男達は、水上から見るだけでわかるのです。
「よし、載った!」そしてスイッチオン。リモート運転対応。
グイーンと動き始める船。おお!動いた!と僕は一人で感動してます。
ウインチでケーブルを動かして引き揚げます。
さすが、指くらい太さのある丈夫なケーブルですね。
ものの数分で、すっかり地上に引き揚げられました。
船底に張り付くフジツボの群れ
おお。普段は海中にあって見られない船の底を拝むチャンスですね。
この船は、一年ぶりに揚げたそうです。赤い船体部は色がややくすんで、スクリュー部はフジツボがびっしりです。
こんなに密集しているところも。そういえば先ほどの滑車載せは、ここにうまく載せるっていうことだったんですね。結構ハイレベルだ。
船底の整備、まずはフジツボをスクレーパーでペリペリと剥がしていきます。
着いているのはどれも、指先くらいの小さいヤツです。僕もやらせてもらったのですが、手だと取れないのに、スクレーパーだと面白いように剥がれるんです。あまりに面白いので20分ほど夢中になって剥がしてました。
機動部はどうしても剥がしにくいので、あらかじめビニールテープを巻きつけておくみたいです。そのおかげで、ほらこの通り。
整備する船は次々にやってきます。9月から小網漁が始まるので、シーズン前に需要が立て込むみたいです。
磯につける船、機動力重視の小型艇など色々ですね。
もちろん整備は船底だけじゃなく、全体的に点検が必要です。
ウキのロープが摩耗してこんなに傷んだりと、探せば細かい修繕箇所も出てきますね。
フジツボを剥がし終わったペラ(プロペラ)。
今度は、こんな機械を使う作業です。
ジェットの勢いで水を発射する、高圧洗浄機ですね。
細かいところまで汚れを一網打尽にすると、鮮やかな赤色がよみがえりました。この日はここまでで完了です。
整備後、めちゃくちゃキレイになってる
このあとの整備はサンダーがけ、塗装などの工程があったのですが、寝坊してしまい見逃すというはめに…
なので、整備完了後の姿を見せてもらいました。
めっちゃ滑らか!
船底もつるつる!
プロペラもしっかり磨かれて、まさに劇的ビフォーアフターです。
遠目から見ても、すべすべ感が出ているのがわかるほどですね。
整備でこんなにも見違えるんだな〜と思ってしまいました。そして整備のおかげで航行時の摩擦が減るので、船がぐんと速くなるそうです。
まだまだ暑いですが、シーズンの移り変わりを感じる光景を牟岐東漁港からお届けしました。