冬の天気の良い日に、高台にある海の見えるお寺を目指していったレポート。突然変わる景色、ぎりぎりの道幅、先の見えないアップダウン。果たして道に迷わずに、辿り着けるか!?
見知らぬ道をゆく
▲砂美へ向かう道を進む。頭上を走るサンラインを過ぎ、ここで左折するところからスタート。
牟岐の町に来てから、もうすぐ半年が経とうという2月の暖かい日。だいぶ町の地理にも慣れてきたが、まだまだ行ったことのないところがたくさんある。今日は、牟岐町の東側に位置する灘地区にある、「東光寺」という高台のお寺を目指してみることにした。灘地区に行くのは初めてなので、迷子になる可能性も大きい。
▲住宅のある道を抜けると、一気に視界がひらけた。
左折してすぐ、4tトラックでも普通に通れそうな普通の舗装路を進む。この辺りは住宅地だが、町中と違って道が曲がりくねっている。しばらく行くと、こんな感じの景色に。町からさほど離れていないが、ミニチュアの里山のような風景だ。
▲消防第7分団の屯所横に、林道っぽい道を発見。
すると目の前には、消防第7分団の屯所が。ここで左へ行く道と、山の中に続くように見える道と、分岐が発生。
さあ、どちらを選ぶ?
▲そりゃもちろん、右に行くことに決定。
左へ行ったら、「スタートに戻る」ってなりそうだと思ったのもひとつなのだが、こういう選択肢があったとき、面白そうな道を選んでしまう自分がいる。おかげで、北海道ではスズメバチの大群にびっしり覆われたり、雪の大平原の真ん中でスタックしたり、熊の出没する山道でガス欠になりかけたりしたのだが。まあ、左側に沢があるので山沿いにずっといく道…だろう。そしたら…
▲…やっぱりというか、山の中に入っていく感じに。
これは間違えた、寺探しから山越えに変更か。と思いきや、しばらく林の中を進むと、明るくなってきた。
▲舗装されてるし、思ったほど大変な道ではなかった。
▲知らぬ間に、だいぶ奥まできたのか。昔懐かしい風景の住宅地に。
林の中を出て、日本家屋と広い庭、すぐそばには畑というノスタルジックな風景に変わる。ここで第二関門が。
▲おおっと。これは狭い。通れるか?
牟岐町に限らず、徳島県内は道幅の狭いところが突如として現れる。大丈夫…だよな?と思いつつ、やっぱり不安なので、ちょうど軒下から出てきたおばちゃんに「ここ、通れますかね?」と聞いてみる。すると、「ああ、軽なら行けるけん、大丈夫よー。普通車やったら、ちょっと無理かもわからんね〜」との返事が。おお。良かった。
▲よーし、ギリギリ通れたぞ。さすが軽バン。
牟岐に来てから、町の中や県内各地を走っているとこういうことがあるので、軽トラや軽バンこそが最強の車だということを幾度と無く実感している。
▲さあ、またまた分岐路。といっても、正面は軒先に続いてるので、右が順路でしょう。
▲おっと。直後にT字路だ。そして左に掲示板がある。
▲掲示板に注目する。おー、気づいたら海から50mも高いところまで来たのか。
貼ってあるのは、大難地域の掃除当番表やバス停の時刻表など。そして海際なので、こんなプレートも貼ってある。海抜49m。ここならいざというときも、安全なのだろうか?このへんの知識に疎いので、今度誰かに聞いてみよう。それで、どっちに曲がるか。うーん、、右、か?と決めて行くと、カーブを描きながらの坂道。おおこれは、東光寺はもうすぐ!?と思っていたら…
▲残念、ハズレ。あっというまに、南阿波サンラインからモラスコむぎへ行く道の途中に出た。ま、新たな道を覚えられたので良し。
真冬のビニールハウスの中は、最高
ということで、さっきの分岐まで引き返す。実は、ここから先は歩いてます。掲示板の分岐からほどなく、ビニールハウスを発見。
▲何の変哲もないビニールハウス。
ビニールハウス自体はありふれたものだ。が、よく見ると机と椅子を置き談笑しているおじいさん達の姿が。早速、話しかけてみる。
▲ビニールハウスの中で、ゆっくりと過ごすおじいさん方。後から気づいたが、左の方のグレーの服、いつも僕の着てるやつとそっくりだった。
挨拶してビニールハウスの中へお邪魔すると、その暖かさにびっくり。外より10度くらい暖かいんじゃなかろうか!?「これはいいですね、よくここに来るんですか。」「お前はどこから来たんじぇ〜」「愛知県から移住しとるんです」と答えたところ、なんと右側のおじいさんは戦時中に愛知県にいたとのことで、また驚いた。
90歳を越えているというこの方、戦時中は名古屋市の熱田区で、軍の教官をしていたらしい。どこどこに高射砲があっただの、笠寺観音の裏手は全て田んぼだっただの、僕の知る名古屋とは全く違う姿をこの方は見てきたのだなーと実感する。おじいさんも感慨深そうだった。
登り道の一番上まで
▲ビニールハウス前の道は、右の坂道を登る。正面の古井戸、現役で稼働中のようだ。
もう少し暖かい場所に居たいところだったが、席を立って東光寺を目出す。東光寺はこの先をまっすぐ行ったところだと教えてもらい、一安心。
▲何かの豆っぽい作物。真っ盛りに伸びている。
牟岐町は四国の太平洋側に位置している。真冬だろうが気にせず成長する植物の姿を、色んな所で目撃することが可能だ。
▲柑橘類の木。うまそう。
▲道も細くなり、車ではここが限界のようである。ちょうど、職人さん達が左ての家の屋根を修理していた。
向こう側に見えるのが、東光寺の屋根。無事、到着することができた。
▲道のつきあたり、ゴール地点の東光寺。
▲振り返った景色。海、見えます。
▲ここからは、大島がこんなに近くに見える。
▲境内の中の手水場。シンプルでさっぱりとしているお寺です。
▲地蔵菩薩が並ぶ。入り口右には、子どもを抱いたお地蔵さんも。
▲お堂の前。東光寺は、高野山真言宗のお寺。
▲ここは高いところにあるが、陽が良く当たり風も凪いでいるので、とても暖かい。
道の終点にある東光寺、散歩やハイキングにぴったりのスポットだとか。境内も、地域住民の方々の手で綺麗に整備されている。
実は、ショートカットもできる
▲右側から裏へ回ると、南阿波サンラインとのT字路に直結。
まっすぐ行くとこれだけ果てしない道のりなのだが、実はサンラインの道沿いにあった、という東光寺。特に観光スポットというわけではないけれど、ここまでの道のりも含めて最後に海を眺めるのも、なかなかオツですよ。