大西浩正(おおにしひろまさ)さん 56歳
教育支援のための中間支援組織「NPO法人牟岐キャリアサポート」の理事長として、大学生と行政・学校の間に入っての調整や牟岐中学校の総合的な学習のコーディネート役を務める大西さん。また、牟岐町で活躍している大学生を中心とした「NPO法人ひとつむぎ」の設立に関わり、学生たちのサポートを何年も前から続けています。
牟岐町の「教育」の分野に大きな貢献をしている大西さんですが、実は牟岐町に住んでいる訳ではありません。
なぜ牟岐町民ではないのに牟岐町に関わってくれているのでしょうか。今回はそんなお話を中心にお聞きしてみました。
牟岐町と関わるキッカケになったのはHLAB TOKUSHIMA
今お住まいはどちらなんでしょうか?
牟岐町には通いで来られているんでしょうか?
NPO法人ひとつむぎ
NPOひとつむぎウェブサイト
県の職員をされてたとお聞きしていますし、物理的なことも考えると大変なことも多いと思います。
HLAB
2015年第一回通常総会後の集合写真。ひとつむぎ初期メンバー、過半数以上が県外大学から参加。
2015年春、ひとつむぎが中学3年生対象の「シラタマ活動」に着手。大学生指導のもとアイデア出しの作業に取り組む中学生。
ボランティアとして学生らのサポートをしていくのは簡単ではなかったと思いますが、なぜそのようなお気持ちを持つことが出来たのでしょうか?
設立当時、ひとつむぎのメンバーは大阪や神戸に住んでいる者もいて、自分たちで旅費を工面して牟岐に来ようとしていたんですよね。そんな姿をみたら何とかサポートしてやりたいという気持ちになりますよね。牟岐町教育委員会の方々が学生たちの熱意をくみ取ってくれて、活躍する機会を与えてくれたのです。行政は上から下に政策を下していきますが、牟岐町教育委員会の方々は大学生の熱意を地べたから拾い上げてくれました。もう採算度外視で協力するしかないですよね。仕事とは別に熱くなれるところがあってもいいかと思えましたし。
2016年春、東大生を含むHLAB TOKUSHIMA2014メンバーらがゲスト参加して開催した中高校生向けワークショップ。テーマは「VS東大」。
50歳を前にしてもう一度蘇ってきた
もう一つは、県庁を退職するまでのキャリアを想像し、これからの人生が面白いか面白くないか自分自身を問い詰めてみたんですよね。自分がワクワクし続けられるか。仮に60歳で退職した後、何か挑戦しようとしても体力や気力は続かないし、これまで大学生たちとやってきたことも消えてなくなってしまいますし。こう考えると、県職員を続けることが考えられなくなりました。
数年間で研究者になるのを諦めてしまいましたが、もともと公務員という仕事にわだかまりを持っていましたので。50歳になって若い頃の気持ちが蘇ってきたのかもしれませんね。
中間支援という環境作り
学生たちに指導助言したり、関係者との連絡調整をしたり、県外を含む連携先とのマッチングをしたり。
2016年から夏・春の長期休暇中に開催している高校生対象の合宿型セミナー。(ローカルハイスクール スプリングキャンプ・サマーキャンプ)全国各地から地方創生や教育などの分野で活躍するゲストが登場。
牟岐町の地域行事にも参加(2018年町民共楽運動会の様子)。
現在のシラタマ活動の様子。大学生、中学生とも女性優位の状況。地元大学生が中心になり活動頻度を上げている。
今年のシラタマ活動のアウトプットイベント「むぎいろフェスティバル」のテーマ。
教育で関わろうとした時に受け入れてくれた町
大西さんが牟岐町と関わりはじめ、牟岐町へと関わる学生らが圧倒的に多くなったように感じます。
移住者を求めることは町政として非常に重要なことだと感じていますが、大西さんのような方や、大西さんを経由して関わる大学生らのような、牟岐町へと関わりを持つ人が増えることも、町にとっては移住者と同じぐらい重要なのかもしれません。
町を作っているのは人です。こうして多くの人が牟岐町や牟岐町の人と関係していくことで、今日もどこかで新しい企画や、プロジェクト、人と人との繋がりや感動がきっと生まれているのだと感じます。
今回の牟岐人
大西浩正 (おおにしひろまさ)